6436 アマノ株式会社 東証プライム・機械(精密)

配当 180 円・DOE 2.5% を下限に、18 期連続 CF 黒字。
時間管理と駐車場管理——生活の裏で動く 2 市場で稼ぐ、骨太の高配当株。

最終スコア
77.2
/ 100 点
★ 購入 ◎ 検討 △ 待機
取得ベース利回り 4.36%・¥4,500 以下で積極買増
🟡 リーマン後に 2 期減配・要監視
最終更新 2026.10.05
著者 ほのたね。
読了 約 15 分
訂正(2026 年 10 月 5 日)

公開時(5 月 28 日)は、2021 年 3 月期に年間配当が 84 円から 65 円に下がったことを「コロナ禍の業績悪化による減配」と書き、減配はこの一度だけとしていました。これは前の 2 期に出していた特別配当 20 円がなくなった分で、特別配当を除いた配当は 64 円から 65 円に増えていました。2005 年 3 月期以降で配当を減らしたのは、リーマン・ショックのあとの 2009 年 3 月期(34 円→30 円)と 2010 年 3 月期(30 円→26 円)です。特別配当と記念配当を除くと、2014 年 3 月期から 2026 年 3 月期まで 13 期続けて増配しています。あわせて、2018 年 3 月期と 2019 年 3 月期の年間配当(正しくは 57 円・80 円)と、記念配当の年(2023 年 3 月期ではなく 2022 年 3 月期)も直しました。有報で配当の内訳を確かめないまま書いていました。本文とグラフを直しています。

会社の出退勤打刻、街の駐車場の入出庫——どちらも、誰かの生活の裏で毎日動いている市場だ。

タイムレコーダー(時間管理)と駐車場管理、両方で長年首位を維持してきた。SaaS(月額課金型のクラウドサービス)化への移行で景気感応度が下がりつつあり、リピート収益とメンテナンス収益の積み上がりが配当の原資を支えている。

年間の配当が 84 円から 65 円に下がった年(2021 年 3 月期)はあるが、前の 2 期に出していた特別配当 20 円がなくなった分で、特別配当を除いた配当は 64 円から 65 円に増えている。特別配当と記念配当を除くと、2014 年 3 月期から 13 期続けて増配し、180 円(第110期)まで積み上げてきた。実際に配当を減らしたのは、リーマン・ショックのあとの 2 期(34 円→30 円→26 円)。配当方針は 2026 年 4 月に、DOE(純資産配当率)2.5% を下限・配当性向 60% 以上・総還元性向 70% 以上へ改めている。

タイムレコーダーと駐車場管理システムのイラスト。アマノの2大事業をイメージ
00

時間情報 × パーキングの二本柱——50 年シェア首位の地味な強者

Company Profile
何をしている会社か
時間情報システム(タイムレコーダー・勤怠管理 SaaS)と パーキングシステム(駐車場管理機器・運営)の 2 本柱。両領域で国内トップクラスのシェアを 50 年以上維持している、地味だが骨太な精密機器メーカー。

ハードウェア販売だけでなく クラウド勤怠管理 SaaS・駐車場運営代行・メンテナンス契約からのリピート収益が積み上がる構造。働き方改革・36 協定対応・パーキング DX が追い風。
会社の基本情報
証券コード 6436(東証プライム)
業種 機械(精密機器)
設立 1931 年(創業 1931)
決算期 3 月期(中間 9 月・期末 3 月の年 2 回)
主力 時間情報システム
成長領域 クラウド勤怠 SaaS
2 つの収益柱
⏰ 時間情報システム(売上の主柱) タイムレコーダー・勤怠管理ソフトのトップシェア。SaaS 移行により販売型からリカーリング型へ転換中。働き方改革・36 協定厳格化が長期的な追い風。
🅿️ パーキングシステム(成長領域) 駐車場機器(精算機・ロック板)と駐車場運営代行(直営・受託)を組み合わせ、機器販売 + 月額運用料の 2 段構えで収益化。EV 充電器設置などのアップセル余地大。
アマノの時間情報システム(勤怠管理)とパーキングシステム(駐車場管理)の2本柱を示す図解イラスト
著者ショッピングモールの駐車場、最近チケットが要らなくなってる場所が増えてきた。入るときにナンバープレートを読み取って、出るときに自動精算されるあの仕組み。「どうやって動いてるんだろう」と気になって調べたら、アマノが導入支援をしていた。
スクリーニングで見つけた銘柄が、こんなに身近なところに根を張っていた。生活の裏で静かに動き続ける企業って、長期保有に向いていると思う。
🔍 構造リスク診断 — ガチホ前に確認すべき 4 つの問い
収益の持続性 🟢 タイムレコーダー・駐車場ともトップシェア。リピート収益が拡大中
競合・代替圧力 🟡 クラウド勤怠で SmartHR 等の新興 SaaS との競合。SaaS 化のスピードが鍵
配当の支払い余力 🟢 実質無借金(有利子負債比率 0.64%)・18 期連続営業 CF 黒字
経営の資本配分 🟡 リーマン後の 2009・2010 年 3 月期に減配。DOE 2.5% を下限としつつ業績連動部分が残る
🟢 全グリーン:下落時こそ買い増しの好機。確信を持ってガチホ。 🟡 イエロー混在:保有継続。配当方針と業績推移を半期ごとに再確認する。 🔴 レッド出現:減配・営業赤字など。投資テーゼの根拠を一から見直す。
01

定性 88 が定量 61 を引き上げて★購入 77.2

Score Summary
定量
61
財務諸表から算出した、数値ベースのスコア。
利回り 75
財務健全性 85
成長性 62
バリュエーション 58
財務健全性は群を抜く。成長性・バリュエーションはミッドレンジ。
定性
88
有価証券報告書を精読し、企業の本質を採点したオリジナルスコア。
事業の質 85
経営の誠実さ 88
配当方針 92
リスク開示 87
DOE の数値を方針に明記し、特別配当・記念配当と普通配当を分けて有報に書いている。経営の誠実さは業界トップクラス。
総合
77.2
定量スコアを 40%・定性スコアを 60% で加重平均した購入判断用の最終スコア。
定量スコア × 0.4 = 24.4
定性スコア × 0.6 = 52.8
合計 77.2
定性を 6 割の重みで見ている。アマノは、定量より有報を読んでからの評価のほうが高い。
配当ポリシー
DOE 2.5% 以上+配当性向 60% 以上+総還元 70% 以上を明文化
純資産配当率(DOE)の下限を有報に明記する希少な方針
連続増配実績
特別・記念配当を除き 13 期連続増配
30 円(2014 年 3 月期)→ 180 円(2026 年 3 月期)
5 年の増配率
+177%
65 円 → 180 円(2021→2026年・5 期)
著者定量 61 点は少し低い。でも有報を読むと、DOE 2.5% +総還元 70% 以上 という明確な数値を掲げる経営の誠実さに惹かれた。
タイムレコーダーと駐車場管理という「地味だけど必ず使われる」市場で首位を維持し続ける粘り強さは、定性スコアに正直に反映した。
コロナ禍で利益が 3 割落ちた 2021 年 3 月期も、特別配当を除く配当は 64 円→65 円と減らしていない。減配はリーマン・ショックのあとの 2 期で、そこは割り引いて見ている。
02

配当 180 円・取得ベース 4.36%、13 株保有

Key Metrics
項目値補足
年間配当175 円(第109期・2025年3月期)/ 180 円(第110期・2026年3月期)第110期に +5 円増配(過去最高)。2027 年 3 月期の会社予想は 180 円の据え置き
配当利回り(取得ベース)4.36 %180 円 ÷ 取得平均 ¥4,131(株価ベースは公開時点で陳腐化するため取得ベースで統一)
連続増配13 期連続増配(特別・記念配当を除く)第98期〜第110期(2014 年 3 月期〜2026 年 3 月期)。年間の総額では、特別配当 20 円がなくなった 2021 年 3 月期に 84 円→65 円。減配はリーマン後の 2009・2010 年 3 月期
自己資本比率71.8 %2025年3月期(実質無借金・有利子負債比率0.64%)
DOE2.5% 以上DOE 2.5% 下限+配当性向 60% 以上+総還元 70% 以上 を方針として掲げる(2026 年 4 月に変更。前は配当性向 40% 以上・総還元性向 55% 以上・DOE 2.5% 以上が目標)
売上高1,765 億円第110期(2026年3月期・実績)/2027年3月期 会社予想 1,840 億円
営業利益226 億円営業利益率 12.81%(第109期 13.13% から小幅調整も、2021〜2025 で +50% 改善)
取得単価(平均)4,131 円1月¥4,238×6 / 2月¥4,096×2 / 3月¥4,016×5(朝¥3,650×1+午後¥3,752×4 の 1 日 2 段階執行・ジュニア NISA 口座)
保有株数13 株3 ヶ月で 3 回に分けて取得・取得総額 ¥53,700
取得ベース利回り4.36 %180 ÷ 4,131 ・年間配当期待 ¥2,340
📈 株価チャート(6436 アマノ) 出典: Yahoo Finance API / 終値ベース
月足は 2020/01〜2025/04(64 ヶ月)/週足は 2022/06/06〜直近 3 年(149 週)
著者アマノは 3 ヶ月で 3 回に分けて 13 株まで積み上げた。取得平均 ¥4,131、コスト利回り 4.36%。
1 月に 6 株(¥4,238)、2 月に 2 株(¥4,096)、3 月に 5 株(¥4,016)。
3 月末の 5 株は、暴落の朝と午後に分けて買った。あらかじめ決めた水準に来た瞬間、迷わず動いた。
取得ベースで 4% を超える水準で買えたので、悪くないコスト効率だと思っている。
03

売上 5 年で +55%、利益率は 8.74% → 13.13% へ大幅改善

Financial Performance, 5y
2021〜2025 で利益率 8.74% → 13.13% へ +50% 改善(第110期は 12.81% に小幅調整) 売上高 営業利益
0 500 1000 1500 2000 億円 2021年3月 1136 2022年3月 1184 2023年3月 1328 2024年3月 1529 2025年3月 1754 2026年3月 1765 ★ 最新
📌 6 年間の軌跡:第 105 期(2021/3)売上 1,136 億・営業利益 99 億からスタート。売上は 6 年で 1.55 倍の 1,765 億(第110期)へ拡大し、営業利益は 99 億 → 226 億(約 2.3 倍)へ。特筆すべきは 2021〜2025 で営業利益率が 8.74% → 13.13% へ +50% 改善したこと。第110期は 12.81% に小幅調整したものの、SaaS 化(クラウド勤怠管理)への移行で景気感応度を下げつつ、リピート収益を積み上げる構造変化は維持している。骨太の高配当株の好例。
著者コロナで人の流れが止まったとき、時間管理市場はほぼ壊滅状態だったと思う。
そのなかで赤字を出さずに経営できていたのは、素直にすごいと思えた。
配当も、特別配当を除けば減らしていない。現金はちゃんと回してるんだよね。
この粘り強さが、買う決め手のひとつになった。
売上 5年 CAGR
+9.2%
1,136 億 → 1,765 億(第110期)
営業利益率の改善
+50%
8.74% → 13.13%(2021〜2025)
CF 黒字
18期
圧倒的な収益安定性の証明
04

リーマン後の 2 期減配と、2014 年から 13 期続く増配

Dividend Track Record, 8y
途中で一度下がってから上がっていく線の上に、コインが並ぶイラスト。アマノの配当の推移のイメージ
連続増配(特別・記念配当を除く)
13
期継続(第98期〜第110期)
コロナ禍の実績
65 円
第 105 期(2021/3)特別配当を除くと 64→65 円
前の 2 期(80 円・84 円)は特別配当 20 円を含む
5 年の増配率
+177%
65 円 → 180 円(第105期→第110期)
特別・記念配当を除くと 2014 年 3 月期から 13 期連続増配・180 円(過去最高) 年間配当(円) うち特別配当・記念配当(各 20 円)
0 50 100 150 200 円 57 第102期 80 第103期 84 第104期 65 第105期 特別配当 20 円の終了 普通配当は 64→65 円 95 第106期 110 第107期 135 第108期 175 第109期 180 第110期 過去最高
期年間配当備考
第102期(2018/3)57 円増配(前期 52 円)
第103期(2019/3)80 円普通 60 円+特別配当 20 円(総還元性向の目標を入れた年)
第104期(2020/3)84 円普通 64 円+特別配当 20 円
第105期(2021/3)65 円特別配当なし。普通配当は 64 円→65 円(年間の総額は 84 円→65 円)
第106期(2022/3)95 円普通 75 円+創業 90 周年の記念配当 20 円
第107期(2023/3)110 円増配継続(すべて普通配当。記念配当は前の期)
第108期(2024/3)135 円増配継続
第109期(2025/3)175 円増配継続・総還元性向 93.1%
第110期(2026/3)180 円過去最高・13 期連続増配(特別・記念配当を除く)・総還元性向 85.1%

※ アマノの配当は DOE 2.5% を下限+配当性向 60% 以上+総還元 70% 以上を方針として掲げる業績連動型(2026 年 4 月から。それまでは配当性向 40% 以上・総還元性向 55% 以上・純資産配当率 2.5% 以上が目標)。第 103・104 期の特別配当 20 円は総還元性向の目標を入れたときに上乗せしたもので、第 105 期にはない。第 106 期の 20 円は創業 90 周年の記念配当。
※ 表より前では、リーマン・ショックのあとの第 93 期(2009/3)に 34 → 30 円、第 94 期(2010/3)に 30 → 26 円と 2 期続けて減配している。当時も目標にしていた純資産配当率 2.5% 以上(実績 2.9%・2.7%)は保ったまま、配当は減った。
※ 純粋な「累進配当」ではなく、DOE が下限として機能する設計。景気後退時に減配リスクは残る。
※ 訂正(2026-10-05):公開時は、第 105 期を「業績悪化で 84 → 65 円へ減配」、第 102・103 期を 78 円・84 円、第 107 期を「普通 90 円+記念配当 20 円」としていました。

著者年間の配当だけ並べると、2021 年の 84→65 円は減配に見える。
中身は、前の 2 期にあった特別配当 20 円がなくなった分で、ふだんの配当は 64→65 円と 1 円増えている。
買ったときの私は、ここを減配と読んでいた。
実際に減らしたのはリーマン・ショックのあとの 2 期で、次の不況でどう動くかは見ていくつもりだ。
ここまで 配当・業績データ / ここから 財務の安全性・事業の質
05

4 つのお堀——自己資本 71.8% が 20 年を守る

Business Strengths
⏰
タイムレコーダー国内 No.1 シェア——70 年積み上げた基幹インフラ
1931 年創業・タイムレコーダーで国内シェア No.1。日本企業の勤怠管理のデファクトスタンダードとして、官公庁・大企業・中小企業まで広く導入されている。一度入れたら容易には替えられない「設備」としての性格が、長期的な収益基盤になっている。
国内シェア No.1
🅿️
駐車場管理システム——もう一本の柱が景気を平準化する
タイムズ等の駐車場運営会社が使う精算機・ゲートシステムを供給。勤怠管理は労働市場、駐車場管理は移動需要に依存するため、両者の景気感応度が異なり、片方が落ち込んでもポートフォリオ全体の振れ幅が抑えられる。
二本柱の収益構造
🏦
自己資本比率 71.8%——「潰れない」という最大の強み
実質無借金の財務構造は、景気悪化・コロナ級のショックが来ても配当を守れる余力を意味する。コロナ禍の 2021 年 3 月期(第 105 期)は売上が 15% 近く、純利益が 3 割減ったが、特別配当を除く配当は 64→65 円と減らしていない。その後も 75→110→135→175→180 円と増配が続いている(2022 年 3 月期はこのほかに記念配当 20 円)。この財務の厚みが支えになっていると思う。
自己資本比率 71.8%
🔁
機器販売 × メンテナンス × 消耗品——ストック収益の三段構え
機器を売って終わりではなく、保守契約・消耗品(タイムカード等)・ソフトウェア更新で継続収益が積み上がる構造。営業 CF が 18 期連続黒字なのは、このストック収益が景気の波を吸収しているから。
営業 CF 18 期連続黒字
著者タイムレコーダーと駐車場ゲート機。会社員時代も今も、日常で見ている機械が、ほとんどアマノだったと知って驚いた。
「働く時間を測る」と「クルマを停める時間を測る」。どちらも 20 年後も続いている仕事だと思う。
機械を売って終わりではなく、メンテナンスと消耗品が定期収益になる構造が、この会社の地味な強さだと思っている。
06

リスク警告

Caveats
⚠ この銘柄を持つ上で、見ておきたい 3 点
RISK / 01
(配当)
リーマン・ショック後に 2 期続けて減配した実績あり
(業績連動型・下限の保証は DOE 2.5%)
リーマン・ショックのあと、2009 年 3 月期に 34 円→30 円、2010 年 3 月期に 30 円→26 円と 2 期続けて減配した実績がある。当時も純資産配当率 2.5% 以上を目標にしていたが、その水準(2.9%・2.7%)を保ったまま配当は減った。2021 年 3 月期の 84 円→65 円は特別配当 20 円がなくなった分で、特別配当を除く配当は 64 円→65 円と増えていた。今の方針は「DOE 2.5% を下限+総還元 70% 以上」だが、配当性向は 60〜70% 台と高く、業績が落ちれば配当も動く。「減配は大罪」とした上で買い増した銘柄として、減配になったときの判断は事前に決めておく必要がある。
RISK / 02
(市場)
クラウド勤怠 SaaS への移行スピード
タイムレコーダーという物理機器のリプレース需要が、勤怠管理クラウド SaaS への完全移行で消滅する局面が来る。アマノ自身もクラウド型勤怠管理に投資しているが、ジョブカン・KING OF TIME 等の専業 SaaS との競争に勝てるかは不確実。物理機器のシェアが、SaaS でも維持できる保証はない。
RISK / 03
(駐車場)
駐車場機器の長期需要
キャッシュレス化・スマートパーキング化で当面の需要は安定しているが、20 年後を見るとカーシェア・自動運転の普及で「個人の駐車需要」自体が構造的に縮小する可能性がある。タイムズ等のオペレーター集約が進めば、機器市場は寡占化されて価格圧力が高まる。
⚠ アマノ(6436)固有の減配・無配シナリオ

アマノは 業績連動型の配当設計で、配当性向は第111期予想で 71.5%、過去には 70% 超の高水準で推移している。DOE 2.5% が下限として機能するが、業績悪化時には配当が振れる余地が残る。具体的な減配シナリオは以下:

  • シナリオ A(深刻度:中):第111期(2027/3)会社予想で純利益は ▲12.6%(特殊要因の反動)。配当性向は 71.5% へ上昇し、配当余力のバッファーは縮小する。さらに業績下振れすれば配当性向 80% 超え → 翌期の据置または減配リスクへ。
  • シナリオ B(深刻度:中):第110期の 営業利益 ▲2.1% を起点に、利益率が 12.81% から構造的に低下する場合。SaaS 移行の遅れ・駐車場機器の単価下落・原材料価格高騰が重なれば、DOE 2.5% を維持しつつ配当性向の上限(70〜80%)に張りつくため、増配余地が消える。
  • シナリオ C(深刻度:低):景気後退で営業利益が 2021 年並み(99 億円)以下に落ち込んだ場合。第105期(2021/3)は、この水準でも特別配当を除く配当を 64→65 円と維持した。ただ、リーマン・ショック後の第93・94期(2009/3・2010/3)には 2 期続けて減配しており(34→30→26 円)、同じ規模の落ち込みが続けば減配の可能性はある。ただし自己資本 71.8%・実質無借金で財務バッファは厚く、無配転落の確率は低い。
  • シナリオ D(深刻度:低):第110期の自社株買い(キャッシュ・フロー計算書で 83.9 億円・前期比 4.3 倍)が一過性だった場合、第111期以降は総還元性向が 70% 方針水準へ収斂する。配当維持でも市場期待からは下方修正に。

本記事のスコアと判断は 現時点の有価証券報告書・決算短信を元にした分析 であり、将来の業績・配当を保証するものではありません。投資判断は最新の決算短信・適時開示を必ず確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。

それでも私がガチホする理由
リスクを知った上で、自己資本 71.8% を信じる。
少子化、減配の前例、競合。それでも手元に置いているのは、無借金に近い財務でコロナを乗り越え、その年も特別配当を除く配当を減らさなかった会社だから。娘が大学を卒業する頃、時間管理・駐車場管理の市場がどう変わっていても、この財務の厚みがあれば合わせていけると思ってる。
著者アマノは「23 銘柄を厳しい基準で絞り込んで、最後に残った 1 銘柄」だった。
1 月にそう決めて、6 株を ¥4,238 で買った。「減配は大罪」が自分の銘柄選定基準として明文化されたのも、この時の購入メモだった。
2 ヶ月後、相場が崩れた朝に 2 株、月末の暴落で 5 株。3 月末の 5 株は、あらかじめ決めた買い水準に来た瞬間に迷わず動いた。
4 月は追加では買えなかったが、購入候補メモには「押し目買いで手厚くしたい」と書き残している。撤退ラインを真剣に検討するくらい、この会社を気にしていた。
ここまで 定量・リスク分析 / ここから 有報を読んで初めてわかること
07

有報精読で確信した 4 つのこと

Annual Report Insights
🏦 財務健全性 BS・有報より
自己資本比率 71.8% は「精密機器業界の異次元水準」
精密機器・電気機器業界の平均自己資本比率が 50% 前後の中、アマノは 71.8%(前期 69.9% から +1.9pt 改善)。実質無借金で、純資産配当率(DOE)2.5% の方針を裏で支える。コロナ禍の 2021 年(第 105 期)は利益が落ちたが、特別配当を除く配当は 64 円→65 円と維持し、その後も 75 円→110 円→135 円→175 円→180 円と増やしている(年間の総額が 84 円→65 円になったのは、前の 2 期にあった特別配当 20 円がなくなったため)。財務に時間的余裕があったことが効いていると思う。
→ 財務のバッファが分厚いほど、経営判断に時間的余裕が生まれる。コロナで利益が 3 割落ちた年も、特別配当を除く配当は減らさずに済んだ。
📊 収益構造 セグメント情報より
時間管理 × 駐車場管理 × クリーンの三本構造で景気を平準化
有報のセグメント情報では、時間情報システム(タイムレコーダー・勤怠管理 SaaS)、駐車場管理システム(精算機・ゲート)、環境システム(クリーン・空気清浄)の 3 セグメントが収益を分散している。労働市場・移動需要・施設管理需要——景気感応度の異なる 3 領域に分かれているため、片方が落ち込んでも全体は安定しやすい。
→ 「単一事業に依存しない」設計が、リーマン・コロナ・円高を全て乗り越えて 18 期連続営業 CF 黒字を維持できた理由の一つ。
⚠ リスク開示 有報 事業リスクより
DOE 2.5% を下限・総還元 70% 以上を方針に明記(2026 年 4 月に変更)・第110期の総還元性向は 85.1%
2026 年 4 月の決算短信で、株主還元の方針を「配当性向 60% 以上・総還元性向 70% 以上・DOE 2.5% を下限」に改め、6 月の有報にも同じ内容を書いている(それまでの目標は配当性向 40% 以上・総還元性向 55% 以上・DOE 2.5% 以上)。多くの会社が「業績連動」とだけ書いて配当下限を明示しない中、アマノは純資産配当率という外しにくい指標で下限を約束している。第 109 期(2025/3)の総還元性向 93.1% に続き、第 110 期(2026/3)の総還元性向は、会社の計算で 85.1%。キャッシュ・フロー計算書の自己株式の取得は 83.9 億円(前期 19.6 億円)だが、このうち 2025 年 4 月に決めた分は、会社が前期(第 109 期)の総還元性向 93.1% に入れている。
→ 総還元性向の目標(55% 以上)を入れた 2019 年 3 月期から 2026 年 3 月期まで、配当性向・総還元性向・純資産配当率の目標はどれも毎期上回っている。方針を書いて、その通りにやってきた会社だと思う。
💹 バリュエーション 業績データより
利益率 8.74%→13.13% へ 5 年で +50% 改善——「成熟業」の枠を超え始めた
売上は 1,136 億円→1,765 億円(5 年 +55%・第110期)と着実に伸びている一方、営業利益率は 2021〜2025 で 8.74%→13.13% へ約 50% 改善した。これは単なる売上拡大ではなく「収益性の質的変化」を示す。第110期は営業利益 226 億・利益率 12.81% と小幅調整したが、来期会社予想は売上 1,840 億・営業利益 240 億(+6.4%)と再加速見込み。クラウド勤怠管理 SaaS への移行と、駐車場機器のキャッシュレス・スマート化が、機器販売の利益率を押し上げている。タイムレコーダーの会社という枠を超え始めている。
→ 定性スコア 88 点の主因の一つ。「成熟した機械メーカー」と見られているが、内部の質的変化を有報の数字が示している。
著者有報を読んで特別な発見があったというよりは、数字の裏付けを探す感じで読んでた。
数字への安心感が先にあったから、有報はその根拠を確認する作業に近かった。
下の 4 点は、そのときに自分の言葉でまとめたもの。
08

★購入・ガチホ適格、DOE 2.5% と自己資本 71.8% を信じる

Decision
項目判断補足
取得ベース利回り 4.36%(★ 購入ゾーン) ★購入基準:スコア 65 点以上 + 利回り 4.0% 以上。180 円÷取得平均 ¥4,131 で 4.36% を充足
ゾーン ★ 購入 スコア 77.2 / 取得ベース利回り 4.36%(★購入ゾーン・13 株保有済みのためポジション管理上は慎重)
買増優先度 中・慎重 ¥4,500 以下で積極買増。¥3,650(利回り 4.79%)が押し目買いの目安
ガチホ適格 ✓ 適格(条件付き) DOE 2.5% 配当方針と自己資本 71.8% を維持する限り
再評価トリガー 減配(特別・記念配当を除く配当の減額)・利益率の構造的低下・総還元 70% 方針からの逸脱 半期ごとに決算で DOE 2.5% +総還元 70% 以上 の維持を確認
結論
71.8% の財務と DOE 2.5% 方針が、娘の 20 年の未来を支える土台になる。
著者アマノは「3 段階で持ち上げて、5 月にもう一度確かめた」銘柄だ。23 銘柄を絞り込んで選んだ最初の 6 株、暴落朝の追加 2 株、月末の即時実行 5 株。それぞれ違う顔をしている。
1 月の自分は購入メモに「減配は大罪」と書き残して哲学を立てた。3 月の自分はそのルールに従って、あらかじめ決めた水準で迷わず動いた。4 月の自分は購入候補メモの片隅に「押し目買いで手厚くしたい」と静かに書き残して待っている。
そして 5 月、決算発表後に株価がさらに下がったとき、決算後の判断メモに書いたのは「投資テーゼは崩れていない」だった。来期純利益 ▲12.6% の数字より、第 110 期の 自社株買い 83.9 億円(キャッシュ・フロー計算書)・総還元性向 85.1% の方が、自分の判断軸では重かった。下がった株価は、買い増しの機会としてセクターバランスを見ながら待つ場面に変わった。
同じ会社を 13 株まで積んだのに、確信の濃さは毎回違う。これは悪いことじゃないと思っている。
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Note
増配でも株価が下がる——感情がついてこない話

「頭では分かってる。でも含み損を見るとざわざわする」。そのときの気持ちを、noteに書きました。

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本記事は、個人投資家である筆者が、自分の娘のために行っている投資判断の記録です。特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資はご自身の判断と責任で行ってください。本記事中の数値は、執筆時点の有価証券報告書・決算短信・会社予想をもとに作成しており、将来の業績・配当を保証するものではありません。