公開時(9 月 11 日)は、配当方針を中期経営計画「変革2028」の内容(総還元性向 100% 以上など)で書いていました。この計画は 2026 年 5 月 13 日に「変革2030」へ見直されていて、株主還元は「累進的な配当を継続・配当性向 50% 以上・DOE 3.5% 以上(新しく導入)・自己株式の取得は機動的に」になっています。公開前の確認が足りませんでした。見直し後の方針に直しています。
- ✓中期経営計画で「累進的な配当」を掲げ、2026 年 5 月の見直し(「変革2030」)で配当性向 50% 以上に DOE 3.5% 以上を加えた。配当は 2023 年 3 月期の 50 円から 2026 年 3 月期の 160 円へ。
- ✓独自スコア 81.8 点で★購入ゾーン。2026 年 5 月から 5 回に分けて 8 株を取得し、取得平均 3,271 円・取得ベース利回り 4.89%。
- ✓売上の 7 割以上が JR 東日本向け。主力は鉄道の保守・更新で、鉄道が走る限りなくならない工事。自己資本比率 86.5%・無借金。
- 🟡2027 年 3 月期は減益予想(経常利益 −16.1%)。配当は 160 円据置の予想で、配当性向は約 66% に上がる見込み。累進的な配当を掲げてから、はじめての 2 桁減益の年になる予想。
娘が 22 歳になる頃、日本の人口は今よりずっと減っている。それでも新幹線と在来線は、たぶん走っている。その線路や駅の工事を請け負っているのが、第一建設工業(1799)。新潟の会社で、売上の 7 割以上が JR 東日本からの仕事。
ほのたね。の評価は 81.8 点で★購入ゾーン。配当は 2023 年 3 月期の 50 円から 2026 年 3 月期の 160 円まで増え、中期経営計画では累進的な配当を掲げ、2026 年 5 月の見直し(「変革2030」)で DOE 3.5% 以上も加えた。記念配当を除いた普通配当は、2009 年 3 月期から一度も減っていない。
JR 東日本 1 社に 7 割を頼る会社を、19 年持っていいのか。この記事は、その問いを 18 期分の有報で確かめた記録。
会社概要
Company Profile売上の 7 割以上が JR 東日本向け(2025 年 3 月期は 75.5%)。ほかに建築工事と、賃貸物件を中心とした不動産事業を持つ。
🏢 不動産事業 賃貸物件を中心とした事業。規模は小さいが、2026 年 3 月期は新しい物件の稼働で伸び、工事の波を横から支えている。
では、この会社を 19 年持ってよいかを、4 つの問いで先に確かめておく。
スコアサマリー
Score Summary基本データ
Key Metrics| 項目 | 値 | 補足 |
|---|---|---|
| 年間配当 | 160 円(2026/3 期実績)/ 160 円(2027/3 期予想) | 130 円(2025/3)→ 160 円(+23%)。2027/3 期は据置予想。配当は期末の年 1 回 |
| 配当性向 | 54.6 %(2026/3 期) | 2027/3 期は減益予想のため約 66%(予想 EPS 242.92 円) |
| 普通配当の減配 | なし(2009/3〜2026/3) | 2013/3 期の 20→19 円は、前期の創立 70 周年記念配当 2.5 円がなくなった分(普通配当は 17.5→19 円に増配) |
| 連続増配 | 6 期(2021/3〜2026/3) | 普通配当ベース。2027/3 期は 160 円の据置予想 |
| 配当方針 | 累進的な配当(中計「変革2030」) | 配当性向 50% 以上・DOE 3.5% 以上。自己株式の取得は機動的に実施 |
| 自己資本比率 | 86.5 %(2026/3 期) | 2013/3 期に借入を完済して以来、有利子負債ゼロ |
| 売上高・営業利益 | 600 億円・69 億円(2026/3 期) | 4 期連続の増収。営業利益は前期比 −3.9%。2027/3 期は売上 690 億円・営業利益 59 億円の予想 |
| 主要顧客 | JR 東日本(売上の 75.5%・2025/3 期) | 2010/3 期の 70.0% から、おおむね 7〜8 割で推移 |
| 権利確定日 | 3 月末日(年 1 回) | 中間配当はなし。支払いは 6 月下旬(2026 年は 6 月 26 日から) |
| 取得単価(平均) | 3,271 円 | 2026 年 5 月〜8 月に 5 回に分けて取得 |
| 保有株数 | 8 株 | 1 株 → 3 株 → 2 株 → 1 株 → 1 株の順に積み増し |
| 取得ベース利回り | 4.89 % | 160 ÷ 3,271 = 4.89%(★購入ゾーン・買付基準 4.5% も上回る) |
| スコア | 定量 65 / 定性 93 / 最終 81.8 | 定性が定量を 28 点上回る。方針と実績の質が、業種標準の数字より高いと見ている |
5 回の買付は、どれも利回りか下げ幅の条件を見て入れている。最新の株価は 株探(1799) で確認できる。
業績の推移
Financial Performance, 5y※ 2021/3 期は売上 549 億円・営業利益 51 億円で、2022/3 期はそこから 2 割ほど落ちている(グラフは 2022/3 期から)。
配当の歴史
Dividend Track Record, 10y
| 期 | 年間配当 | 備考 |
|---|---|---|
| 2012年3月期 | 20 円 | 普通 17.5 円 + 創立 70 周年記念 2.5 円 |
| 2013年3月期 | 19 円 | 記念配当がなくなり合計は −1 円。普通配当は 17.5→19 円に増配 |
| 2014年3月期 | 22 円 | 増配 |
| 2015年3月期 | 24 円 | 増配 |
| 2016年3月期 | 26 円 | 増配 |
| 2017年3月期 | 26 円 | 据置 |
| 2018年3月期 | 30 円 | 増配 |
| 2019年3月期 | 34 円 | 増配 |
| 2020年3月期 | 34 円 | 据置 |
| 2021年3月期 | 37 円 | 増配(コロナ禍の年も増配) |
| 2022年3月期 | 45 円 | 普通 40 円 + 創立 80 周年記念 5 円 |
| 2023年3月期 | 50 円 | 増配 |
| 2024年3月期 | 80 円 | 増配 |
| 2025年3月期 | 130 円 | 還元方針を転換(中計「変革2028」:配当性向 50% 以上・総還元性向 100% 以上) |
| 2026年3月期 | 160 円 | +23% 増配・実績 |
| 2027年3月期 予 | 160 円 | 据置予想(減益予想の中で維持) |
※ 出典:IRBANK 配当推移、有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」(記念配当の内訳)。2026-09-10 確認。
※ 配当は期末の年 1 回(中間配当なし)。2009 年 3 月期から 2026 年 3 月期まで、記念配当を除いた普通配当は一度も減っていない。
事業の強み
Business Strengthsリスク警告
Caveats(顧客)
売上の 7 割超が集中
(配当)
累進的な配当が試される
(コスト)
人手不足と資材高
普通配当を 17 年減らさなかった実績と、累進的な配当の方針は、どちらも強い。それでも崩れるとしたらどこからか、考えられる順に並べておく。
- シナリオ A(深刻度:中):JR 東日本が設備投資を大きく絞る。売上と利益が同時に落ち、まず機動的に行う自己株式の取得が縮む。配当の累進がどこまで守られるかは、そのときに分かる。
- シナリオ B(深刻度:中):減益が 2 期以上続き、配当性向が 80% を超える。累進の約束は守れても、増配は長く止まる。
- シナリオ C(深刻度:低):中期経営計画の見直しで、還元方針が弱まる。2026 年 5 月の見直し(「変革2030」)では累進的な配当を続けて DOE 3.5% 以上を加えた一方、「総還元性向 100% 以上」の目標は書かれなくなった。
本記事のスコアと判断は 現時点の有価証券報告書・決算短信・IRBANK のデータをもとにした分析 であり、将来の業績・配当を保証するものではありません。投資判断は最新の決算短信・適時開示を確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。
有報精読で見つけたこと
Annual Report Insightsここまでの材料で、8 株まで積んだ判断を最後にまとめておく。
購入判断
Decision| 項目 | 判断 | 補足 |
|---|---|---|
| 取得ベース利回り | 4.89%(★ 購入ゾーン) | 160 円 ÷ 取得平均 3,271 円。★購入の基準 4.0%、買付基準 4.5% のどちらも上回る |
| ゾーン | ★ 購入 | スコア 81.8(定量 65・定性 93) |
| 配当方針の質 | 実績先行型の累進 | 普通配当を 17 年減らさなかった実績があり、そのあとで累進的な配当を方針に書いた |
| 保有 | 8 株(2026 年 5〜8 月に 5 回) | 1 株 → 3 株 → 2 株 → 1 株 → 1 株。一度に大きく入れず、条件に届いた日だけ足してきた |
| 買増優先度 | 高 | 建設・不動産セクターの中核。利回りが買付基準を超えたところで、月の予算の範囲で少しずつ |
| 再評価トリガー | 普通配当の減配/累進方針の撤回/JR 東日本の設備投資の大幅な縮小 | 半期ごとの決算で配当を、年 1 回 JR 東日本の設備投資計画を確認する |
よくある質問
FAQ第一建設工業(1799)の配当金はいつもらえますか?
第一建設工業の決算は 3 月期で、配当は期末の年 1 回です(中間配当はありません)。権利確定日は 3 月末日で、支払いは 6 月下旬です(2026 年 3 月期の配当は 2026 年 6 月 26 日に支払開始)。
第一建設工業の配当利回りはどのくらいですか?
2026 年 3 月期の年間配当は 160 円で、2027 年 3 月期も 160 円の予想です。著者の取得平均 3,271 円ベースでは 4.89%(160 円÷3,271 円)で、ほのたね。の★購入ゾーン(利回り 4.0% 以上)に入っています。記事は静的なため、現在の株価ベースの利回りは外部の金融サイトでご確認ください。
第一建設工業の配当方針は累進配当ですか?
はい。2024 年度からの中期経営計画「変革2028」で累進的な配当を掲げ、2026 年 5 月に見直した「変革2030」(2026〜2030 年度)でも、累進的な配当により株主還元を続けるとしています。見直しでは、配当性向 50% 以上に加えて DOE(株主資本配当率)3.5% 以上を導入しました。自己株式の取得は機動的に行う方針です。
第一建設工業は何年連続で増配していますか?
普通配当ベースで、2021 年 3 月期から 2026 年 3 月期まで 6 期連続で増配しています(37 円→160 円)。また、2009 年 3 月期から 2026 年 3 月期まで、普通配当は一度も減っていません。2013 年 3 月期の 20 円→19 円は、前期に含まれていた創立 70 周年の記念配当 2.5 円がなくなったためで、普通配当は 17.5 円→19 円に増えています。2027 年 3 月期は 160 円の据置予想です。
第一建設工業は JR 東日本への依存度が高いと聞きました。大丈夫ですか?
売上の 7 割以上が JR 東日本向けで、2025 年 3 月期は 75.5% でした。発注側の設備投資方針が変われば業績に直接響くため、この記事ではいちばん大きなリスクとして扱っています。一方で、鉄道の保守・更新は鉄道が走る限り必要な工事で、JR の規格や現場に慣れた施工会社は限られます。なお、JR 東日本は 2025 年 3 月期末で 19.35% を持つ筆頭株主でもあり、社長も JR 東日本の出身です。著者は替えのききにくい関係とも見ていますが、JR 東日本の設備投資計画は年 1 回確認しています。
第一建設工業の財務は安全ですか?
2026 年 3 月期の自己資本比率は 86.5% で、2013 年 3 月期に借入を完済して以来、有利子負債はありません。建設会社としてはかなり高い水準です。
